では今回も、はじめの一歩考察chやっていきたいと思います。
今回は、一歩がデンプシーロールを身に付けてから現在までどんな歴史を辿って進化してきたかを解説していこうと思います。
一歩がデンプシーロールと共にどのように歩み、強くなってきたかの過程を知ることで、これからの「はじめの一歩」をよりアツく面白く読めるようになると私は断言します。
ぜひこの動画を観て頂き一緒に「はじめの一歩」を盛り上げていきましょう!
【第一段階】初代デンプシーロール(単行本24巻)
まず、デンプシーロール誕生の瞬間から解説していきたいと思います。
一歩は、日本フェザー級タイトルマッチで伊達に敗れてから、「もし次も負けて周りの期待を裏切ったら…」とナーバスな日々を送っていました。
当時、海外遠征から戻ってきた宮田が派手なKO勝利を収め、伊達はリカルド挑戦に向けてWBA世界5位のランカーとの試合が決まり、まるで自分だけが取り残されていくような感覚に陥る一歩。
そんなとき、鴨川ジムへ行くと青木村と共に一歩の再起戦が決まり、俄然モチベーションを上げていきますが、対戦相手の名前と戦績以外何もわからない状態で試合当日を迎えることに不安を抱いていました。
試合まで残り2か月。
鴨川会長はパンチをもらいすぎる一歩の弱点を指摘し、今後は攻撃3防御7の練習に切り替えることになりました。
こうしてハードなトレーニングをこなす一歩ですが、防御の強化を掲げる鴨川会長の指導方針に不安を感じ始めるんですよね。
会長を神様のように崇拝している今の一歩からは想像がつきませんが、この時期の一歩はまだ会長を100%信頼しきっていないんですよね。
トレーニング中も集中力を欠いている一歩は、日を追うごとに不安を募らせていく中、ミット打ちの最中に鴨川会長が過労で倒れ入院してしまいます。
ここで初めて、鴨川会長が「打たれる前に打つ」ファイトスタイルを目指していることを聞かされ、一歩は自主練をしながら考え始めました。
「打たれる前に打つ」には、相手の動きを察知しながら常に先手を取る必要があり、攻撃と防御を同時に体現することができれば…と一歩は考えました。
そして、家に帰るとマイク・タイソンの試合映像を観て、体を小さくゆすりながら起き上がる反動でパンチを打つリズムを勉強し始めます。
ただ皮肉なことに、デンプシーを身に付けてからの一歩の左は極端に減り、結果的に攻防一帯のファイトスタイルではなく「打たれてから打つ」ボクシングへと変化していってしまったんですよね。
再起戦当日。
一歩は第1ラウンドではイマイチ主導権を握れずにいましたが、第2ラウンドが始まると会長へ「次のラウンドで倒してきます」と予告KO宣言をするんですよね。
リズムに乗ったポンチャイの連打に対し、体を振ってパンチをかわす一歩は一見、防戦一方のように見えていました。
しかしここから、段々と振り子のリズムを刻み始めた一歩は高速の体重移動を始め、体を振ったその反動で左右の豪打を集中砲火します。
宣言通り、一歩は2ラウンドKO勝利となりました。
ライターの藤井いわく、デンプシーロールは1920年代にヘビー級世界王者ジャック・デンプシーというボクサーが得意としていたテクニックです。
無限大「∞」の軌道で頭をローリングさせたその反動で、全体重を乗せた左右のフックを打ちまくる技によって、ヘビー級では小柄なジャックは並み居る強豪を次々にKOしていったようです。
ハワイ出身の藤猛(ふじたけし)というボクサーもデンプシーを使っていたそうで、試合映像をYouTubeで観ましたが、階級が違うためか一歩のデンプシーと比べてスピード感はあまりないですね。
ともかく、一歩は再起戦を見事デンプシーで勝利することができました。
【第二段階】相手を後退させるデンプシーロール(単行本25・30巻)
ポンチャイ戦で完成したデンプシーロールですが、千堂のように前へ突進してくるファイター型には通用しない弱点があることに気づいた一歩は、相手を後退させるためにどうすればいいか迷っていました。
この時期に、一歩は鴨川メンバーと一緒に猫田のペンションへ合宿に向かいます。
どんな相手をも後退させる下準備から技への連携、そしてトドメのフィニッシュへと繋げることができると、初めてデンプシーロールは完成に近づくと鴨川会長は一歩へ伝えています。
続けて、後退させることがもっとも難しい千堂武士に対抗するために、強打を打ち続ける土台となる下半身と当たり負けしない全身のチカラをつけるためのトレーニングを指示しました。
この時に始めたのがマキ割トレーニングで、一歩はタイヤをハンマーで打つやり方に変えて今現在も継続しています。
パンチ力アップのための広背筋トレーニングを勧める一方で、猫田は力と力がぶつかる試合は見ごたえはあるが、いずれは壊れてしまうパンチドランカーのリスクもこの時に一歩へ伝えているんですよね。
そして、ここで猫田が伝えた〇気を込めたフェイントを鷹村から教わったことで、一歩は千堂に対してリバーブローからフェイント、そしてガゼルパンチで相手を後退させてからのデンプシーロールを爆発させました。
この一連のコンビネーションは、千堂戦後に初防衛戦で戦った真田にも発動しています。
今にして思うと、結局はデンプシーから仕掛けると相手のパンチをかいくぐってから攻めるために常に後手に回ってしまうわけで、この当時のデンプシーロールが一番理想の形のようにも思えますね。
この当時は、これでデンプシーロールは最強と思っていたんですが、ここから先は色々なボクサーに対策をされたり実際にデンプシーを破られたりしてるんですよね。
次々にデンプシー破りを実行&公言するボクサーたち(単行本47・51巻)
まず、デンプシーロールを完璧に攻略した最初のボクサーが、あのリカルド・マルチネスです。
伊達との防衛戦で日本に来日したリカルドとスパーした際、一歩は相手の左に翻弄され続け、打つ手がなくなってしまいデンプシーを発動します。
しかし、なんとリカルドはこのデンプシーでさえ左一本で攻略してしまったんですよね。
今までの一歩なら左だけで前進が止まるということは考えられませんでしたが、リカルドの左は単行本130巻で対戦した相手のガードした腕を壊すほどの威力がありますから、この結果にも納得してしまいますね。
なお、このリカルド・マルチネスについて現在の様子や戦績、名試合についてはこちらの動画で取り扱っています。
概要欄にリンクを貼っておきますので、ぜひご視聴ください。
話を戻します。
単行本47巻では、宮田陣営からの試合の申し込みを会長が断っていたことを知った一歩が会長室へ怒鳴り込むシーンがありました。
鴨川会長は、規則正しい振り子のリズムを刻むデンプシーがカウンターに弱い欠点に気づいていたんですが、その事実を一歩に伝えてショックを受けるのではないかと心配してためらっていたんですよね。
これまでのハードトレーニングを経てようやく完成したデンプシーを否定する発言は、常に選手ファーストの鴨川会長にとって耐えがたいものだったんでしょう。
さらに、デンプシーロールのスピードとパワーの強化を始めるということは、左で距離を測りリズムを作る近代ボクシングの流れに逆行することになります。
デンプシーロールが歴史に埋没したのと同様に一歩もその道を辿るかもしれないと危惧した鴨川会長は、デンプシーの強化に取り組むことにためらっていましたが、一歩の真っすぐな目を見てあえて時代に逆行する覚悟を決めました。
ここから一歩は会長の指導の下、スムーズな腰の回転と体重移動を実現できる足の親指を作り上げ、純血のインファイターとなるためにハードなトレーニングを開始します。
この頃の一歩の親指は、皮が何度も剥けてマメができた上にさらにマメができるような状態で、大きな靴じゃないと履けないほどでした。
そして迎えた島袋戦では勝利したものの、相打ち狙いによってデンプシーが初めて公式戦で破られることになります。
もともとデンプシーは打たれすぎる弱点をリカバリーするために考案された技だったんですが、皮肉にも相手のカウンターによってここから一歩はますます甚大なダメージを負うことになるんですよね。
一歩がパンチドランカー疑惑によって引退に追い込まれたのは、皮肉にも自ら考案したデンプシーロールによる代償だったのかもしれません。
この後、一歩は沢村と千堂の試合後の控室で会った際に「無様な技は無様に散る」と挑発されたことで、対戦が決まります。
【第三段階】デンプシー破り破り(進化版デンプシーロール)(単行本52巻)
一歩は、デンプシーの天敵である沢村竜平との試合が決まり、近代ボクシングに通用するような進化版デンプシーロールを作り出すことを宣言します。
千堂のような前へ出てくる相手を後退させたリバーブローからガゼルパンチへつなぎ、デンプシーでフィニッシュするパターンとは違い、距離を取るカウンター系のボクサーに通用するデンプシーロールを研究するため、ジムの木村や板垣にスパーの相手をお願いすることにしました。
しかし、木村の実力ではカウンターを合わせることができず、途方に暮れていたところでグローブを預けていたヴォルグが再起するために日本へ来日します。
沢村の試合映像を観たヴォルグは一歩とのスパーでデンプシー破りを完全に体現し、鴨川会長はここで現在一歩が使っている新型デンプシーロールの全容を明かそうとしますが、人間の関節の可動限界を超えたボクサー生命を削りながら打つパンチを伝えるべきかどうか迷います。
そして一歩も単調な振り子のリズムを変えればいいことに気づいて、振り子運動を途中で止める方法を思いつき、この進化版デンプシーロールによって沢村を撃破しました。
しかし、進化版デンプシーによって体を痛めてしまった一歩は、この後長期療養期間に入ることになります。
そしてデンプシーロール封印へ(単行本63巻)
進化版デンプシーを使い続ければ確実に選手生命を削ることになると実感した一歩は、ここからデンプシーを封印することを選択します。
しかし、一時的に封印すると決めただけで、ここからも一歩は新型デンプシーに必要な横のねじれにも耐えうる強い足首・手首・腰を強化する体づくりも継続して続けていきました。
一歩は、これまでのように先に当たった者勝ちの勝負を続けていればいつかきっと勝てない相手に巡り会う、今まではデンプシーロールに頼りすぎていたことを反省し、まさにここから大きな変貌を遂げようとしていました。
この当時の一歩は、いずれ相まみえるであろうライバル宮田一郎との対戦を想定してトレーニングを続けていたんでしょう。
また、唐沢戦では左で自分から仕掛ける課題を課していた一歩に対し、試合後に鴨川会長が「牽制の左が少なすぎる」「だからスルスルと逃げられる」と指摘しています。
これはまさに単行本125巻で一歩が引退後に抱いていた未練で、「常にもぐり込むコトばかりを考えていた」「だから入り端に合わされるコトが多くなった」と口にしています。
その典型例が試合前に挑発を繰り返していた小島で、相手の左に対し必ずダッキングで相手の懐に入り、リバーを狙うクセを見抜かれていました。
なお、小島戦で魅せた一回転KOのような衝撃シーンを集めた動画もアップしております。
概要欄にリンクを貼っておきますので、こちらもぜひご視聴ください。
話を戻します。
一歩が左で先制するボクシングを忘れてしまったのは、世界へ挑戦していく中で自分よりもボクシング技術が上のボクサーと連戦したことが原因だと考察しています。
また、もともとリーチが短い一歩は左の差し合いで不利なため、最初から左で競り合うことに抵抗があったのも事実でしょう。
単行本70巻では、日本タイトル最後の防衛戦として武と戦った一歩は、意識の失った武の執念を断ち切るためにデンプシーを発動しようとしますが、千堂と同様に突進されたことで封じられました。
ここから少しずつ、一歩はデンプシーに頼らない戦い方で勝ち進んでいくことになります。
デンプシーロール究極進化系のひな形、ついに誕生(単行本78巻)
単行本78巻では、世界を目指すことを決心した一歩はジミー・シスファーと対戦した際に、現在一歩が使っている新型デンプシーの片鱗を魅せています。
ジミーとの対戦で左右からのフックの打ち合いが続く展開を見た鴨川会長は、一歩へ「アッパーでリズムを変えろ」と指示を出します。
左右の連打から縦の変化は、筋肉の繊維がねじ切れるほどの負荷に耐えて打つリスクはありますが、これまでの修練によって強靭な体を作り上げた今の一歩なら打てると鴨川会長は判断したんですね。
ただ、どのみち負担が大きい上にぶっつけ本番のパンチを打つなら、ここで斜めの軌道を描く新型デンプシーを指示しても良かったように思います。
結果的に、一歩は左右の動きからアッパーを放ち試合に勝利しています。
試合後に鷹村は「もしアレを自由自在に連打できるようになれば、デンプシーに縦の動きが加わる」「縦横無尽の高速連打、究極進化系だ」と期待感のある評価をしています。
しかし、ここから先はウォーリー戦でコーナーに追い詰めた際にデンプシーでスクリーンを張った時を除いて、ゲドー、小島戦とすべてデンプシーは発動せず、一歩は勝ち続けてきました。
そして、ついに世界前哨戦として対戦したアルフレド・ゴンザレスと対戦した際、かつて沢村戦で披露したデンプシー破り破りを発動しますが、試合には負けてしまいます。
【第四段階】新型デンプシーロールついに完成!(単行本114巻)
ゴンザレスに敗北後、一歩は土手に埋め込んだ丸太の前でデンプシーの横の動きから縦へスムーズに体重移動できるようになっている自分に気づきました。
「デンプシーの横の軌道に縦が加われば…」一歩はおぼろげながら新型デンプシーの完成形が頭に浮かび始めていました。
スパーでも、左右のフックの間に筋繊維の断裂を感じずにアッパーをスムーズに放てるようになっていることを実感した一歩。
しかし、横から縦へ急激に変化をつけるデンプシーロールでは、相手が下がると距離感が狂いパンチが当たらない欠点もあり、一歩はまた悩み始めます。
鴨川会長や八木は新型デンプシーが芽吹き、どんな花を咲かせ実をつけるか大きな期待を寄せていました。
そしてついに、土手で練習していた一歩の元へ現れた会長は、新型デンプシーの全貌を明かします。
その全貌とは、「横にして横にあらず」「縦にして縦にあらず」斜めに体重移動を繰り返し、常に前傾姿勢のまま前方へ推進力を働かせるやり方です。
相手が距離を取ればガゼルパンチで一気に追い詰め、そこからデンプシーで追い打ちをかける練習を始めると、その破壊力は常にサンドバックが踊りだすほどでした。
今まではフックの繰り返しだけだったのがすべてのパンチに角度がつくことでカウンターも合わせづらく、距離を取られてもガゼルパンチで一気に距離を詰めることができるため、これまでのデンプシーの弱点をすべて克服したかのように思えました。
しかし、この頃の一歩はすでに蓄積されたダメージが原因で距離感が狂った状態になっていて、再起戦でKO負けとなり現役を引退してしまいます。
皮肉にも、引退してから自由自在に新型デンプシーを発動できるようになった一歩。
メキシコでヴォルグとスパーした際に新型を発動しかけましたが、千堂が止めに入ったためまだ一度もKOしたことはありません。
それでは、ここから先の一歩はどうなっていくのかについて、考察していきたいと思います。
【最終段階予想】幕の内一歩のデンプシーロールはこうなる!
一歩はもともと釣り船屋の仕事で鍛えた体幹と強打が売りのボクサーです。
加えて、現在では間柴の対戦相手マーカス・ロザリオのファイトスタイルがサウスポー以外自分と酷似していることを知った一歩が、なんとサウスポーで発動するデンプシーロールを習得しているんですよね。
現役時代はただ不器用で色んなことができないのが一歩でしたが、引退後はセコンドをやりながら知識・教養を身に付けてどんどん器用なボクサーになっていっています。
何より、今までは鴨川会長に言われるがまま信じてトレーニングを続けるだけだった一歩が、自分の頭で考えて練習したり相手を分析したりできるようになったのが大きな成長ですよね。
1433話を読む限り、今の一歩は右で踏み込んでからのデンプシーロールをスムーズに発動できるまでに仕上がっています。
これってつまり、どちらの軸足からでも相手の懐へ飛び込めるようになった、という解釈で間違いないと思うんですよね。
つまり、オーソドックスとサウスポーを交互にスウィッチするかつて宮田と対戦したランディーと同じファイトスタイルになるんじゃないかと考察しています。
とはいえ背が低くリーチも短い一歩がランディーと同じ戦い方はできないですが、左右どちらからも踏み込めるようになれば、小島戦のように「必ず左から踏み込んでくる」と予測してカウンターをもらうリスクも減りますよね。
しかも、斜めの軌道を描く新型デンプシーに対しただでさえカウンターを合わせづらい上、どこからパンチが飛んでくるかわからない攻撃を仕掛けることができますから、ここから一歩が再起したら完全に無双状態になるのでは?と考えています。
ライバルの宮田に関しても、相手のパンチを特定して放つカウンターを狙うことが難しく、対決したらかなり一歩優勢となるのではないでしょうか。
しかし一方で、宮田もランディー戦で魅せたコークスクリューブローを身に付ける可能性もあるので、勝敗はどちらに転ぶか予想は難しいところです。
ということで、今回はこの辺で終わりたいと思います。
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